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前作同様、1曲目が激しい。いきなり「殺してやる殺してやる殺してやる」と迫ってくる。エヴァンゲリオンより10年以上前の話だ。この「彼方」という曲、作詩者の名前を見ると映画監督の山本晋也なので驚く。これと「椿説丹下左膳」とは、はみだし劇場の公演の主題歌として作曲されたものである。 今(1998年)改めて聴き直してみると、世紀末を見透かした予言的なアルバムに思えてくるから不思議だ。当時世間を騒がせた金属バット殺人事件からインスピレーションを得たという「殺人と青天井」は字義どおりの「ハード・コア」と化しているし、石塚俊明とのステージではほぼ定番の「一切合財世も末だ」に至っては、「ポカリポカリ」と生まれた命が「カクンカクン」と息絶えてゆく。 「山頭火よ」(種田山頭火は友川かずきの自殺した弟・覚-詩人-が敬愛した放浪の俳人)は、友川かずきの詩に他人が曲をつけたという珍しいもの。また、「木々は春」という現在の作風にすんなりつながりそうな佳作が収められている点も見逃せない。 なお、CDのライナーノーツは田口史人氏。
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01. 彼方
02. 神様になれ
03. 一切合切世も末だ
04. 殺人と青天井
05. 椿説丹下左膳
06. 山頭火よ
07. なあ海
08. 餅紅の花
09. 木々は春
10. 苦海さあ
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KING RECORDS KICKS 8116